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雨に濡れた地図(2)

 2015年7月4日 糸島市 白糸の滝 

40年前に途中で読むのを止めた安倍公房の「燃えつきた地図」をあらためて読み始め、今度はなんとか読み終えた。この小説、なんだかフランスの小説でも読む様に、一時の時の流れを、一瞬の出来事を、これでもかこれでもかと拡張させる。その余韻が時には散漫にはなりつつも、頭の中でかろうじてビジュアルなものに組み立てることができた。細切れのパッチワークを見事に紡ぐ匠の技は、やはりプロのなせる技。40年前に読んだときは活字を追う眼がパッチワークについていけず、ストーリーが雲散霧消し退屈になり、読むのをやめてしまった。やはり年と共に蓄積されたのであろう様々な光景や、角度を変えて文章としての表現力を味合う余力が小説の中でも重ねることができたからかもしれない。

燃えつきた地図の背景は、おのれの心の地図を焼き捨てて、混ぜんとした砂漠の中の地図の様に、どんな出口も見出せない都会の孤独と不安の中に自分を置くものだ。40年経って、時代とともに都会の風景も、世相も、もっと複雑な地図に変わったはずなのに、都会人の孤独と不安は、やはり都会人の性として、きっとその深層は複雑なままに変わることもないのだろう。



   2015年7月4日 唐津市 見返りの滝 

先月、所用で故郷の福岡に帰省した。所用が済んで、地元の先輩のOさんの運転で、写真好きなCさんと共に長崎方面にドライブに出かけた。ドライブと言っても、昨年は雨の為に果たされなかった「撮影旅行」に再チャレンジするつもりであった。しかし、なんと、到着したのは「超能力者」としてOさんが信奉するオーナー経営の長崎の川棚にある「4次元パーラー・アンデルセン」と言う喫茶店であった。このアンデルセンの事はOさんに何度も聞いてはいたが、私はもともと、超能力とか異次元とかシュールな世界にはあまり興味がない。だからあまり行く事に興味を示さなかったのだ。そんな私に正攻法では動かないと思ったのかOさんはCさんと「共謀」し、この喫茶店に到着するまで行き先は「大村湾」とだけだ言ったきりで目的地は最後まで曖昧なままにここに着いた。てっきり「大村湾の島のある風景」ばかりを想像していた私は、二人の策略連携プレーにまんまと引っかかった。

さて「4次元パーラー」での数々の不思議な「マジック」の話をすると長くなる。それはまたの機会としたいが、OさんやCさん言わわせるとオーナーの信条のどおり「全ての現象は、偶然ではなくて必然、(私は)来るべくして来た。」。となるらしい。さらにOさんに言わせれば、彼自身の体験として、初めて四次元体験をしてからは、「びっくりするほどのシンクロ二シティが多発した」そうだ。私は、4次元パーラーでの体験は想像以上のものがあり、ある意味驚愕の連続ではあったが、しかしそれでもOさんの様にオーナーを「超能力者」とは思わなし、あくまでも「卓越したテクニックの持ち主」の域を出るものではない。しかし、Oさんが経験した「多くのシンクロ二シティが発生した」事実は、なんと私自身にもその直後から多発した事には少し驚いている。

少し長くなりそうなので、この続きは次回に。

閑話休題
以上の文中で私は最近読んだ本は「燃えつきた地図」と書いたが、実はもう一冊の本を読んだ。それは最近多くのメディアでも取り上げられている「七十年目の恋文」という本だ。作者は93歳の女性。27歳で戦争で亡くなった夫へ、その亡き後も綿々と恋文を書き綴った物語だ。その本の作者は大櫛ツチエさん。つまり、このブログに登場するOさんのお母さんである。この本の事は7月21日のNHK歌謡ショーでも登場する。



   2015年7月6日 福岡佐賀県境背振山から




 
| 老真 | - | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2015/07/22 10:55 PM posted by: 老真
糸島は山があって、海があって、古代史の故郷ですね。
2015/07/21 6:57 PM posted by: -
管理者の承認待ちコメントです。
2015/07/21 6:51 PM posted by: oka
背振山,見返りの滝、ともに行ったことはないですが、糸島も他県に自慢できる場所・郷里ですね。
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