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幻の美術館
 
  再びアジサイ山   09年7月4日
 

「オッぺ川」。埼玉の山奥に、一風変わったなんとも風雅を誘う名前の川がある有る。漢字で書くと「越辺川」。越生(おごせ)の周辺を流れる事に由来するらしい。しかし、もともとこの越生の読み方だって普通ではない。アイヌか高麗かに由来するのではと考えたくもなる。確かにアイヌ語に由来するとの説も有るようだが、決定的なものはないようだ。


実は、40年近く前からこのオッぺ川への関心を持ち始めていた。社会人になって間もない頃、何となくこの地方の地図を見ながら、このオッぺ川という名前を見つけてその韻に引かれていた。そしてある日、そこを探索すべく友人の車を借りてこの川の下流の入間川沿を上って行ったのだが、草むらに隠れた側道の横の溝に落輪した。当時は、車の通りも殆どなく、電話もガソリンスタンドも無い田舎道だった。結局、友人1人を車に残し、しばらく歩いて県道まで出て通行中の車を止め、ガソリンスタンドまで送ってもらい、そのガソリンスタンドからレッカー車を呼んで、やっと溝から脱出した。 ガソリンスタンドにレッカー車が来るまで2時間。現場に戻るまで3時間。その間、落輪した車に残した友人とは連絡は取れない。友人は私が逃げてしまったのではないかと疑心暗鬼になっていたようだ。そして、この日、ついには「オッぺ川」にたどり着くことはできなかった。

 
   アジサイ山  09年7月4日

時は流れて。ここ数年来の、秩父、越生方面の「里歩き」を重ねているうちに、Web上でこのオッぺ川の上流に今度は「オッぺ美術館」なるもを見つけたのである。前回の拙ブログにも書いたが、このオッぺ美術館、地図には載ってはいるが、実態は良く分からない。2週間前、越生のあじさい山に出かけたついでに、このオッぺ美術館を訪ねようと、その場所を駅前の観光案内所に聞くつもりで、地図は持参しなかったが、案内所ではこのオッぺ美術館の存在は知らなかった。‘オッぺ'にまた拒まれた。  

 

   越生 山谷の大くす  09年7月4日  埼玉県指定天然記念物

 樹齢千年 胴回り15メートル 高さ30メートル 埼玉県1位
 全国16位

「あー、分かりましたよ」。

今度は地図を持って、二週続けて訪ねた越生駅前の案内所 
の女性は、私を見るなりそう言った。先週は不明だった「オッぺ美術館」の事を調べくれていたらしい。

「確かに以前は有ったのですが、今は廃舘になっているようです」。

「もう、建物もないのですか?」

「いや、建物は有る見たいですが、もう誰も住んでいません。廃墟です。」

「でも、行って見ます。歩くのが目的ですから」

 

こうして、今日の歩く目標は廃墟になっている山の中の小さな美術館。「廃墟か、では何の為に行く・・・」。一瞬の自問自答は有ったが「どこかの細道」の中では、廃墟も自己表現の芸術の範疇。廃墟なのに・・・「物好きなジジイだ」。少しばかりの自嘲の中で歩き始める。


地図のとおり、オッぺ美術館は県道から脇道に外れて山道を少し登ったところに有った。山道に入る所に「けとばし山」と書いた看板がある。帰宅して分かったことだが、この「けとばし山」はオッぺ美術館の主管者で画家の大道あやさんが名づけたらしい。大道あやさん・・・、どこかで聞いたことは有ったのだか・・・・。

 
   オッぺ美術館への道  09年7月4日

オッぺ美術館は山道に沿って建っていた。普通の民家ほどの大きさだがやはり廃墟と化していた。 玄関の看板には「おっぺ」の字は読めるが「美術館」の字は既に剥落している。 埃っぽいガラス窓越しにわずかばかり中を見ることができた。 窓辺には木の棚が有って、花瓶のような置物が置いている他は何もない。果たして、どんな美術館だったのだろうか。  

外からは窺い知る事はできない。美術舘の前には何故か山羊が一匹、紐に繋がって「メェーメェー」と、けたたましく鳴いて向かってくる。美術舘に山羊。仮に「オッぺ美術館」に宗教絵画が有ったとしたら、山羊はキリスト教では悪魔の象徴。 人里離れた幻の美術館の前では、様々な事が錯綜する。 


   オッぺ美術館 09年7月4日


 オッぺ美術館前 なぜか山羊が 09年7月4日

 

この時は、幻の美術舘の実態はつかめなかったが、「どこかの細道」の中に廃墟の美術館が加わった事、ただそれだけで良かった。しかし、帰宅してネットで画家の大道あやさんのことを検索しているうちに、大道あやさんの事をおぼろに思い出し、それは新たな大きな興味となっていった。そのことを書くには、どうしてももう一つの美術館に行かなければならない。

次週もまた、この謎を解くために越生の少し先の東松山の細道を歩くことにした。 

今日は、越生駅−大クス−アジサイ山−オッぺ美術館−大高取山−東毛呂と、再びアジサイ山付近を経由して4万歩。
やや長めのウオーキング。



 4万歩ウオ‐ク 09年7月4日 老真 自写像 
 

 

| 老真 | - | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2017/01/17 3:27 PM posted by: 老真
道産子のごりさん、コメントありがとうございます。私は、時々あてもなく歩くのですが、特にこの越生近辺や秩父の郊外はとても素朴で好きな所です。「おごせ」「おっぺ」と地名を聞いただけで、何かそそるものが有りますよね。この「幻の美術館」はその後ちょっと思わぬ展開をすることになりました。幻の美術館(2)2009年7月25日(3)2010年9月12日、(4)2010年9月21日発と続きますので、よかったらご覧ください。
2017/01/16 5:52 PM posted by: ごり
初めまして。58歳、道産子のごりです。
今日2017.1.16に、ナビ上におっぺ美術館を見つけて、いってみた者です。
すっかり廃墟となっていましたが、やはりどんなところだったんだろう?と思いをはせ、このブログに出会いました。
おっぺ川という名前を私が初めて知ったのは15年ほど前ですが、その時の印象など、ブログを読ませていただいて、大きな時間のズレはあるものの、同じようなことを思い、同じように散策をされた方がいらっしゃったことに、驚きと歓びを感じ、ペンをとらせていただいています。
幻の美術館、時間を遡ることができたらぜひ行ってみたい!そう強く思わせていただきました。ありがとうございます。
2011/11/15 10:55 PM posted by: 老真
ぴ@さん。早速続きを読んでいただきありがとうございます。「幻の美術館」(3)以降の続編を書く事になったのは、やはり、このブログにオッぺ美術館に関する情報を寄せてくれた方がいたからでした。ぴ@さんからの再びオッぺ美術館の事を聞き、又、久々にあの付近を歩いてみたくなりました。私も詩が書けたらいいなあと、時々思う事が有ります。
2011/11/15 12:15 PM posted by: ぴ@
こんにちは、続編拝読させていただきました。
不思議な縁なのですね、実は自分も詩を書いていて、引き寄せられるものに感じ入りました。畏怖と言っても良いかも知れません。
俗にまみれてしまった今となっては、向こう側へは行けない、そんな思いもしました。



2011/11/14 9:46 PM posted by: 老真
ぴ@さん。情報ありがとうございます。ぴ@さんは自転車で行かれたのですね。私は、いつも歩きです。このオッぺ美術館を巡ってはその後続編として「幻の美術館(2)(3)(4)をこのブログ上に書いています。お暇な時ご覧ください。老真。
2011/11/14 3:26 PM posted by: ぴ@
こんにちは
オッペ美術館、今は、ゲストハウスおっぺ村として再生しているようです。

昨日、趣味の自転車に乗って前を通ったところ、大分發侶攫動車が駐車していて、臨時休業となっていましたが、先週通った際には営業中でした。

他の方を記事を参考まで
http://hataphoto.exblog.jp/16537788/
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